子供の発達段階と空手効果

今日の台東区三ノ輪周辺は4月だというのに暑い一日でした。この時期だと公共の体育館などはクーラーは使えず送風だけ、という場合もあるから空手の練習中も熱中症や水分補給に気をつけたいですが、湿度は高くないから夏ほどキツくはないですね。ただ子供や高齢者の場合、体温調整がうまくできないこともあるのでやはり注意が必要です。

ところでその子供の体力についてですが、年齢、発達段階によって、どの体力が向上するかが変化します。

まず幼児期から小学生くらいまでの段階。

この時期は「神経系統」が発達します。神経系統とは、バランス感覚とか、いわゆる反射神経とか、コーディネーション(協調性)などです。

コーディネーションとは、例えば歩いたり走ったりする時手脚がバラバラにならず”協調”させて動かせるかどうか、などです。右手は前に、左手は後に回しながら歩いてみてください。うまくできるでしょうか?同じようにスキップはできるでしょうか?手と脚で、あるいは左右で異なる動作を上手くスムーズにできますか?わけわかんなくなってませんでしょうか?これがコーディネーションです。コーディネーションが崩れるとスポーツはもちろんどんな動きでもぎこちなくなってしまいます。

そこで空手の動きを思い出してください。空手は左右の手、手脚、バラバラに異なる動作をしなければなりません。さらにそれを全身を重心移動させながら行います。そうです。子供にとって空手はコーディネーションのトレーニングに最適です!高齢者なら「脳トレ」的な効果もあると思います。コーディネーションのトレーニングは同時にバランスのトレーニングにもなります。

それからいわゆる反射神経。「いわゆる」とつけたのは、反射神経という神経はないからです。正しくは反応してからの「神経伝達速度の速さ」です。

  1. ボールがとんできた
  2. →その情報が目から脳へ神経を伝わる
  3. →ボールをよける、キャッチするなどの動作命令が脳から運動神経を通って全身の筋肉へ伝わる

この一連の神経を情報が伝わる速さと筋肉の収縮速度(→筋トレの効果とは)が速いと「反射神経がいい!」となるわけです。

ところがこの神経伝達速度の向上は、ほとんど子供のころに決まってしまいます。中学生以上になると、まったく効果ないというわけではないですが、幼児期に比べると発達度合い格段に落ちます。

そこでまた空手を思い出してください。もう言うまでもないと思いますけど、空手はこの「刺激に反応して速く動く」場面が練習中でも試合でもふんだんにあります。形や基本だって号令に素早く反応して全力で動くことが要求されます。

つまり空手は幼児期、児童期に最も大切な神経系の発達にはうってつけの運動だと思います。

ちなみに小学生高学年から中学生ぐらいの時期は持久力が発達する段階なので、持久系のトレーニングをとりいれるとよいですね。児童までは体も心臓も小さく心拍数も常に高い状態ですから持久走的な運動をやっても特別持久力がアップするという効果は望めません。

そして14、5歳から高校生以上、あるいは骨格の成長が止まって体格が安定した頃からは筋肉が発達しはじめます。この段階で筋力トレーニングを始めるとみるみる筋肉が発達します。逆に骨格が安定しない成長期の段階で筋トレをむやみにおこなうと関節などを痛める可能性もあります。そもそも骨がどんどん伸びるということは筋肉の形も安定していない状態なので、そんな状態で筋トレなどやっても特別な効果はやはり望めません。

では児童までは持久力も筋力も発達しないのかということではありません。運動をしていればそれに必要な筋力も持久力も発達していてきます。よほど体力が劣っているという場合は何か考える必要は有りますが、とくべつ持久力トレーニングや筋トレを課す必要はまったくないのです。